2003 創刊号 

プラネット通信
 


 昨年度の日本人の平均寿命は、男性が78.07歳、女性が84.93歳と過去最高を更新し、これはおそらく世界一となる見込みです。その反面、合計特殊出生率* は下がり続き、少子化は現在かなり深刻な問題となっています。これから日本は、今まで誰も経験したことのない「超高齢社会」へ突入しようとしているのです。

 公的年金、医療保険制度など、少子高齢化には弱い制度で問題は山積みですが、私たちを取り巻く環境は今、急激なスピードで変わりつつあります。これから、どのような社会になっていくのか不安もありますが、その流れに押しつぶされないように、まわりを冷静に見て、しっかり足元を固めていくことが、今求められる最大の課題ではないでしょうか?

 FPセンタープラネットにおいては、今年度よりスタッフも増え、皆様のご期待に添えるようがんばってまいります。忌憚のないご意見、ご要望などお寄せいただければ幸いです。

  • 合計特殊出生率とは、出生率計算の際の分母の人口を、出産可能年齢(15歳から49歳)の女性に限定し、各年齢ごとの出生率を足し合わせ、一人の女性が生涯、何人の子供を産むのかを推計したものです。
 

 
平成15年度・税制改正 <1>
 

● 相続時精算課税制度

 その年の1月1日に65歳以上の親から、20歳以上の子供(代襲相続人を含む)に財産を生前贈与する場合、一度納めた贈与税の合計額を親の死亡時に相続税から控除して精算する制度です。非課税枠は、通算2000万円。非課税枠を上回る部分については、一律20%の贈与税(相続税の前払い)が課せられることになっています。この制度を選択すると、最初の贈与の翌年3月15日までに所定の届出を出し、その後、相続時まで継続して適用されます。この制度を選択すると、翌年以降、贈与して、たとえ贈与税がゼロであっても贈与税の申告書を提出しなければなりません。
 

ポイント
  1. 贈与財産の種類、金額、贈与回数には制限がありません。

  2. 相続財産に加算されるのは、贈与時点の評価額です。
    将来的に評価額が上がりそうな資産につては、事前に贈与して低い評価額を確定させることができます。反対に、将来値下が りする可能性が大きいものは、贈与せずに相続財産として残しておいた方がいいかもしれません。

  3. 基礎控除110万円の制度も平行して存続し、どちらかを選択することになります。相続財産が多く、適用税率も高くなるようなケースでは、従来型の方がよい場合もあります。

  4. この制度を有効に活用するポイントは、贈与を受けた推定相続人が この贈与財産をいかに運用するかにあります。

  5. 遺言を書く代わりに、生前に遺産分割を行うこともできます。

  6. 住宅取得資金等については、65歳未満の親からの贈与も適用され非課税枠は3500万円です。(平成17年12月31日まで)

 
   

☆ 金利ゼロの住宅ローンって、ホント?!
 

 「○○銀、住宅ローン、預金残高引き金利を計算」
 先日の某新聞に、一見デフレを象徴するような、そして住宅を購入しようとしている人にとってうれしい記事が載っていました。
 仕組みとしては、同行の普通預金に500万円の残高がある人が、住宅ローンを1000万円借り入れた場合、差額の500万円だけローン金利を払えば済む、というとてもありがたい、日本では初めての新型住宅ローンです。利用者は、普通預金を積み上げることで、住宅ローンの元本を繰り上げ返済しているのと同じ効果が得られるわけです。

 ローンを組むと、できるだけ早く繰り上げ返済をしたいと誰でも思いますが、繰上げをしてしまうと、手許資金は減り、かつ、返済してしまったものは元に戻せません。その不安を解消し、繰上げ返済の効果を享受しながら、いざという時には自由に預金を引き出して使うことができる、画期的商品といえます。さらに、税法上の要件を満たせば、住宅ローン控除の適用も可能です。
 例えば、4000万円の預金を持っている人が、現金で家を買うのではなく、10年以上の返済期間で4000万円を借りて家を買えば、諸経費や団体信用生命の保険料はかかりますが、当初は40万円近いローン控除が最長10年受けられます。
 ただし、ローンの借り入れ金利は、通常の民間ローンと同程度の基準金利に上乗せ金利がつきます。ローン残高に対する預金残高の割合が多くなるほど上乗せ金利が低くなるしくみになっているため、預金残高によってはこの上乗せ金利によって利息の軽減効果は吹き飛んでしまう場合もあります。

 つまり、ローン残高に応じた控除をフル活用できるくらい所得の多い人で、預金の残高も多い人ほどメリットのある商品といえます。反対に、預金残高の少ない人にとっては、上乗せ金利の影響が大きく、一般の民間ローンに比べて不利になる可能性があるので注意が必要です。
 


 

☆ 個人向け国債とは
 

<特 徴>
・ 購入単位 1万円から
・ 利子 半年ごとに見直す変動金利
・ 中途解約 購入1年後から政府が買い取り、解約手数料は直前1年分の利子相当額
・ その他  銀行などでは口座管理手数料がかかる場合がある

 

 初回の募集では人気加熱気味で話題となった個人向け国債ですが、民間金融機関経由の発行においては結局十数億円売れ残ったそうです。その最大の理由は利率の低さです。2月の初回募集で買った人が9月に受け取る初回利子の年利は0.09%。2回目の募集で買った人は年0.05%です。
 例えば、第2回募集で100万年分購入すると10月に受け取る利子は200円で、更に20%の源泉分離課税が徴収されます。銀行で購入すると国債口座管理手数料がかかり、利子より手数料が高くなるケースもあります。
 財務省によると、「購入層は60歳以上の高齢者が目立つ」そうです。ペイオフの一部解禁による、1000万円を超える資産の逃避場所として利用している人も多いのではないでしょうか。
 現行の金利は低いものの、財政赤字が膨らみ、長期金利がいつ上昇してもおかしくない現在、金利上昇局面においては毎回の利子もふえていきます。今後の金利動向をにらみながら利用する商品といえます。
 

 

 

 
 


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Last modified 2003.5.18