2005 2月号 

プラネット通信

第5回 人生の4大出費   老後  その3・住宅
FP 加藤惠子


 人生における各イベントのうち、最後にやってくる最大のイベントは、「老後」ではないでしょうか?生まれてから社会に出るまでをファーストステージ、社会に出て結婚し、家庭を作りリタイアするまでをセカンドステージとすると、リタイア後の人生はサードステージということになります。かつては、このサードステージは「余生」という言葉で表現されたように、時間的には決して長くありませんでした。
 「終身雇用」という言葉は現在も使われていますが、この言葉のもつ意味を考えてみましょう。生命保険の種類である「終身保険」とは一生涯の保障機能を持った保険です。つまり「終身」は「一生」を意味します。では、「終身雇用」とは一生涯雇用してくれる制度なのでしょうか。平均寿命の話は第1回でさせていただいていますが、現在女性で約85歳、男性で約78歳ある平均寿命が、この「終身雇用」という言葉ができた当時は約50歳前後でした。つまり、会社を辞める時期と死亡年齢が相前後していたわけで、だから定年まで企業にいることは終身雇用されているということだったのです。
 でも今は、リタイアしてから過ごす時間が20年から30年あり、そこにもう一つの人生、3番目のライフステージが形成されることになります。そして、生きていくためにはコストがかかります。コスト(生きていくために必要なお金)の他にも、「生きがい」や「健康」などがバランスよくあって、初めて幸せなライフステージ、ハッピーリタイアメントと言えるわけで、老後の準備はお金だけではありません。でも、ここではこのお金に絞って「老後」を考えてみたいと思います。

 では、「マネー」の部分では、一体、老後いくらくらい必要なのでしょうか?生命保険文化センターの調査によると、老後の平均生活費は、最低限の生活費で23.5万円、ゆとりのある生活費で37.3万円です。60歳時の平均余命は男性で約22年、女性で約27年あります。60歳でリタイアして、仮に90歳まで生きるとすると、夫婦2人の生活費は約1億円前後でしょうか。
 更に、医療費の自己負担額や介護状態になった場合の費用を考えれば、この額はもっと大きくなります。このコストを公的年金だけで賄えるかということになると、現在の年金制度では、将来的にはかなり不安であると言わざるをえないでしょう。子供が面倒をみてくれるという期待もあるかもしれませんが、これも、これからはあてにはならないでしょう。世の中のしくみも考え方も、大幅に変わってきているからです。自分の老後は自分でみる覚悟をしておかないと大変なことになる、そういう時代になってきています。
 老後の資金を準備するためには、現在持っている資産を活用することも必要になってきています。元本保証のある預貯金に預けているだけでは、増えないからです。預金金利の良かった時代には、リタイアまでにある程度の資産を築き、その金利を生活費にあてている高齢者はかなりいました。でも今のような超低金利ではそれは到底望めません。さらに、将来インフレになれば、持っている預貯金の価値は下がってしまうかもしれません。日本が辿ってきた道を振り返れば、歴史がそれを証明しています。これからは、それらを考慮した老後資金準備をする必要があるでしょう。

ゆとりある老後の生活費
(単位:万円/月)
  最低限の
生活費
ゆとりのある
生活費

ゆとりのための
上乗せ額
平  均
23.5
37.3
13.8




300万円未満
500万円未満
700万円未満
1,000万円未満
1,000万円以上
21.3
22.8
23.4
24.6
27.7
34.1
36.1
37.6
38.2
43.7
12.8
13.3
14.2
13.5
16.1
資料:生命保険文化センター

 

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー       後藤田潤子

奥さまが考える、我が家の節税

『医療費控除』

 サラリーマン家庭では、会社で年末調整があるため自分で確定申告をすることはあまりないでしょうが、前年1年間(1月1日〜12月31日)にかかった所得税を税務署に申告することを確定申告といいます。2月16日〜3月15日までが確定申告の時期で、医療費控除をすることにより税金がかえってくるケースがあります。手続きが面倒だといって申告をしないですませているご家庭もあると思いますがご主人の分だけではなく、奥さん・子供さんなど生活を共にしているご家族の皆さんの分、生活費を仕送りしていれば離れて暮らす両親や子どもの分もまとめて申告できるので、ご家族のどなたかが入院された年、医療費がかなりかかったと思われる年は節税つなげるために、確定申告してみましょう。

パソコン医療費控除による還付金は・・・?    
      必要物:1年分の領収書やレシートなど
◆計算式◆
前年中にかかった医療費の合計
医療費を補う保険金など−10万円=医療費控除額
               (上限200万円)
医療費控除額×税率=還付金額

◆◆◆◆◆◆◆◆
 上記の計算式をみながら、やってみましょう。まずは昨年1年間にかかった医療費の合計から保険金などを差し引きます。この保険金というのには、加入している生命保険や損害保険から出る入院給付金、健康保険から出る出産育児一時金や高額療養費があたります。一方、出産手当金や傷病手当金などは、欠勤中の給与を補償するものなので差し引かなくてよいです。次に10万円、あるいは、年間所得が200万円未満の人はその5% のどちらかを差し引いきます。これが医療費控除額にあたります。
 最後に、この医療費控除額に税率(所得に応じて10%〜37%)をかけたものが、還付金額となります。(定率減税があるため、実際の還付金額が若干少なくなることもあり)

通常医療費控除の対象となるもの 薬局で購入した風邪薬や湿布薬、目薬といった治療・療養に必要なもの、病院での診療費や治療費、入院代、妊娠や出産に伴う定期健診費用、歯科での治療や、入院通院時の交通費(バス・電車などはメモ書きでもOK)等があります。

対象とならないもの インフルエンザの予防注射や健康増進のために購入したビタミン剤やスポーツクラブの利用料、メガネ・コンタクトレンズ代などは対象外です。

ケースバイケースによるもの 人間ドッグや健康診断は、受けることによりなにか病気が見つかり治療すれば対象になります。漢方薬も医師の処方があれば対象になりますが、処方がなければ対象外、歯列矯正も発育中の子どもの場合は対象になりますが、大人になってからの美容目的の場合は対象に外です。

※不明なときは税理士や税務署に問い合わせしてみましょう。


 


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Last modified 2005.3.6