2005 5月号 

プラネット通信

第8回 ペイオフ解禁   その3
FP 加藤惠子


 ペイオフの概略については前回お話しましたが、では金融機関が破綻した場合、必ずペイオフになるのでしょうか?アメリカの預金保険制度においても、制度ができた1934年から1999年までに2000件にのぼる金融機関の破綻がありましたが、ペイオフが発動されたのは全体の約20%です。又、ペイオフになるのは主に小さい金融機関に限られ、預金のカット率も多くても15%くらいとなっています。その理由のひとつは、アメリカでは自己資本が枯渇する前、つまり早期処理が比較的うまくいっているということが挙げられます。又、日米の家計金融資産の割合の違いも挙げられます。現預金の割合が少ない米に対して、日本は50%以上が預貯金で占められているのが現状です。家計は預金に頼り、企業は銀行に依存している構図が日本にはありますが、同時に1000万円超の大口預金のシェアが日本は高く、米は低いのです。
 今後、もし金融機関が破綻した場合は必ずしもペイオフ方式が採用されるわけではなく、破綻金融機関を引き受けてくれる受皿銀行を探して、そこに営業譲渡して資金援助を行う資金援助方式が優先されることになっています。

 では、もしもの時に備えて私達はどんな準備をしておけばいいのでしょうか?

● 銀行等の口座の名寄せを自分で行う。
 どの銀行にどのくらいの預金があるのかをきちんと把握しておく必要があります。又、住所や姓が変わっているのにそのままになっていないかどうか、確認しましょう。付保預金(上限1000万円とその利子)の払い戻しを受ける際、住民票などの本人確認書類と口座の住所・氏名が違っていると払い戻しが遅れる可能性があります。

● 金融機関の合併には注意
 付保預金に関して、合併後1年間は別の金融機関扱いですが、それを過ぎると1金融機関とみなされますので注意が必要です。

● ローンのある場合は
 取引金融機関の預金規定、ローン規定を確認しておきましょう。相殺規定ができていれば、申請によってローンと預金残高を相殺することができます。ただ、相殺をした方がいいかはケースバイケースなので注意が必要です。

● 預金の配分に注意
 預金保険機構から支払われる時の優先順位は、担保権の目的となっていないもの、満期が早いもの、金利が低いものの順です。つまり、定期預金と普通預金が両方ある場合は、付保預金はまず普通預金の残高に対して支払われます。金利が高い定期預金と決済で使っている普通預金は違う金融機関にしておいた方がいいかもしれません。又、総合口座の定期預金は担保の目的になっていることにも気をつけましょう。

● 資産の分散
 複数の銀行に分散するのではなく、これからは金融商品の分散をしておくことが大事です。投資型の商品や貯蓄性のある保険商品なども選択肢に入れて考えるといいでしょう。


 ペイオフの問題で大事なことは、今後は破綻処理をできるだけ早期に迅速に行なってほしいということです。処理が遅れれば遅れるほど、その痛み具合もひどくなり、1000万円超の部分のカット率は大きくなります。預金者の負担を少なくするために、先延ばしはせず、債務超過ぎりぎりのところで早めに処理をしてもらいたいものです。そして、私達ひとりひとりが金融機関をきちんとチェックすることも大切です。金融機関を見る私達の目が厳しくなれば、金融機関自身も選ばれ・信用を得るための経営努力をするでしょう。1000万円までは守られるといっても、そのコストは結局は私達預金者が負担していることを忘れてはなりません。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー       後藤田潤子

高齢齢者向け介護施設

 介護保険が始まってから早くも5年がたちました。
 今年の10月からは、介護施設で暮らす人々から食費や居住費(光熱費など住まいに関する費用)を徴収することになり介護保険の給付を抑えようとしています。
 高齢者向けの介護施設といっても、その形態はさまざまです。どんなものがあるか、比較してみましょう。
  1. 有料老人ホーム
     痴ほうや病気ではなくても、健康な人も入居できる一般的な老人ホームです。
     民間企業が中心に運営していますが、社会福祉法人、医療法人も運営しています。
     個室タイプや夫婦で入居できるタイプなどバリエーションがあります。
    常時入居者を募集している施設が多く、入居一時金は2000万円・3000万円といった高額の施設もあります。入居一時金とは別に、月額20万円〜30万円の生活費がかかるところが多いですが高級感をうちだし食事が豪華であったり、場所が保養地にあり温泉が併設されていたり・・・とさまざまです。

  2. 特別養護老人ホーム
     長期間、入居することができる公的な介護施設です。居室は個室もありますが、2人部屋・4人部屋といった相部屋が一般的です。
     入居希望者が多いため、すぐに入居できるかどうかはわかりません。
    相部屋の場合で、食費が約2.6万円+介護保険の1割負担分が約3万円で合計 約5.6万円が現行の負担です。しかし、この10月から厚生労働省が示す一般的な例で居住費に1万円+食費(調理費が加わる)4.8万円+介護保険の1割負担分の約2.9万円を合計して8.7万円になります。(要介護5のモデルケースです)
     その他、デイサービスやショートステイを実施していたりします。自治体や社会福祉法人が運営しているので、都道府県・市区町村に問い合わせるとよいでしょう。

  3. 老人保健施設
     3〜6ヶ月程度の短期の入居となります。同様に相部屋が一般的です。
     こちらも入居希望者は多いです。費用負担もと同様です。

  4. グループホーム 
     5人〜9人単位でクラス小規模な施設です。
     介護が必要な痴ほう症の高齢者が、職員の家事手伝いを受けながら、自宅にいるような生活を送るのが特徴です。施設にもよりますが、自分で炊事や洗濯をこなしたりしています。居室も原則個室で、グループホームの施設数は2004年11月で約6000事業所あり年々増加傾向です。
     食費・介護保険の1割負担に加え、家賃の実費負担などがあり約11万円の負担になります。東京といった都市圏では地価が高いため16、17万円程度必要になります。都道府県や市区町村が問合せ先となります。

 元気で暮らしているうちは無縁の世界ですが、高齢化がすすみこれからはこういった施設の需要もますます高まると思われます。

 


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 プラネット通信 2005 4月号
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Last modified 2005.5.22