2005 7月号 

プラネット通信

第10回 日本の年金制度A
FP 加藤惠子


 昨年は5年に1度の年金改正の年でしたが、では具体的にどんな改正があったのでしょうか。今回の改正のテーマは、「女性と年金」と「高齢者の年金」でした。

◇基礎年金の国庫負担率の引き上げ

 日本の年金制度は賦課方式といわれるもので、高齢者に支給される年金は現役世代の保険料で賄われているのですが、保険料だけでは足りないので国が援助していました。これが国庫負担金ですが、この割合が1/3から1/2になりました。国の負担ということは、税金から出ているわけで、結局は国民の負担ということになります。 
         
 ◇給付と負担の見直し
 給付は、「現役世代の50%を維持する」というのが厚生労働省の意向ですが、今後、少子化がもっと進めばこの通りにはいかないかもしれません。
 これに対する負担は、厚生年金は年収の13.58%(本人と企業で折半)であったのが、昨年の10月から毎年0.354%ずつ上がり、2007年9月で18.3%(本人と企業で折半)で固定しようというものです。
 国民年金は、今後毎年280円ずつ上がり、これも2017年に16900円で固定するということです。


◇ 離婚時の年金分割制度の導入
 現在、夫婦2人の年金額の平均は月233,000円ですが、離婚した場合、専業主婦だった妻は自分の国民年金(40年加入で月約66,000円)だけになってしまいます。これが2007年以降の離婚では、協議をして合意すれば、年金受給権(婚姻期間に発生した権利すべて)を最大で半分を分割できるというもので、今回の年金改正の目玉の一つです。ただし、妻が自分の年金の受給権を得ていることが条件です。そして、この分割に関しては、公正証書で離婚成立後2年間の間に行われなければなりません。財産分与の時効が2年間なので、それに合わせてということなのでしょう。又、2008年以降の離婚については、協議せずに申請すれば自動的に分割されるようになります。ただしこの場合は、2008年から申請時までの分に関してなので、これからの若い世代に向けての制度といえます。

◇在職老齢年金制度の見直し
 働く高齢者の年金に対する見直しで、これも今回の大きなテーマでした。
 60歳以上で会社に在職し、厚生年金の加入者(被保険者)である人に支給される年金を「在職老齢年金」といいます。これまでは、60歳代前半ではこの年金が一律2割支給停止になっていましたが、これがなくなり、年金と給与の合計が28万円を超えたら、その超過分の半分がカットされることになりました。又、現行では65歳から69歳までの在職者は、(年金+給与−48万円)×0.5 をカットしていましたが、改正後は、65歳以上すべての在職者を対象にカットが行なわれることになりました。70歳以上になって在職老齢年金の対象になったわけですが、70歳以上の人は保険料の負担はありません。ただし、この在職老齢年金が適用されるのは、厚生年金適用事業所に勤務し厚生年金に加入する場合に限られますので、厚生年金に加入しなくてもいい立場で働く場合や、厚生年金のない事業所などで働く場合は年金のカットはありません。(続きは次回で)

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー       後藤田潤子

外貨預金

 会社勤めのサラリーマンのご家庭では夏のボーナスが出て、その使い道を考えていらっしゃることでしょう。
 ちょっと洒落たお店での豪華ディナーや海外・国内への家族旅行、前から欲しかったDVDの購入、子供の学費の支払いなどその使い道はさまざま。
 でもボーナスを全部使いきる方はおそらくゼロで、ある程度の割合は将来にむけての貯蓄を考えていらっしゃることでしょう。21世紀は日本人が1年間に海外旅行へ行く人口が1800万人の時代です。外貨預金にも関心がある方が増えているのではないでしょうか?

外貨預金について・その魅力はやはり金利
 なじみのあるところでは,アメリカのドル(米ドル)でしょう。その他、ヨーロッパのユーロ、イギリスのポンド、豪ドル他の通貨があります。
 外貨預金は外国銀行と日本の銀行が取り扱いをしていますが、金融機関により取り扱いの通貨が異なってきます。
 通常の円での預金と同様に、普通預金と定期預金があり、定期預金の方が金利は高めになっています。
 たとえば、期間6ヶ月の外貨建て定期預金の場合(米ドル)利率は(2005年7月11日現在)
 みずほ銀行・・・1.99%
 東京三菱銀行・・・1.87%
 UFJ銀行・・・2.15%
 円預金の場合のスーパー定期の利率が0.02%なので、それに比べるとはるかに利率がよいと感じることでしょう。

外貨預金の落とし穴・為替リスクあり
 まず、円→外貨、外貨→円に交換するのに、為替手数料がかかります。各金融機関が為替の動向に応じて決める基準レートを1ドル=110円とすると
円→外貨(外貨を買うときのレートをTTSといいます)
     為替手数料が1円の場合、TTS=111円になります。
外貨→円(外貨を売るときのレートをTTBといいます)
     為替手数料が1円の場合、TTB=109円となります。
 つまり往復で2円の手数料がかかることになります。
 注意*この手数料は金融機関により異なります。

 例えば、10万円分を米ドルで1年間預金したとします。(1ドル=110円と仮定)
 金利が1%で、往復の為替手数料が2円だったとします。1年後に受け取る金額はいくらになるでしょうか?
1年後に今と同じ1ドル=110円だった場合
 手数料分を考慮すると、日本円に戻すとマイナスになっています。(税引き後の受取額 98983円)

1年後の為替が90円の場合(円高になった場合)
 受取額が80821円でさらなるマイナスです。逆に為替が130円になった場合(円安になった場合)は117145円とプラスになるメリットがあります。

この為替リスクを少しでも減らすためには・・・

 できるだけ為替手数料が少ない金融機関で取引をすること、現地で外貨のまま引き出せる外貨カードを作成してもらえるか確認すること(つまり、円→外貨にしたものを外貨→円に戻さずに外貨のまま使うということです) 自分が旅行で行く、あるいは行ってみたいと思う国の貨幣をもつことが挙げられます。
  また通貨を選ぶときには国の情勢が安定しているかもポイントです。先日ロンドンで起きたテロのように、国の情勢が不安定になればその国の通貨が急落するので、高い利率ばかりに気をとられて外貨預金をするのは考えものです。 なおこの外貨預金についてはペイオフの対象外ですので気をつけてください。

 


これまでのAdvice
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Last modified 2005.8.22