簡単にいえば、相続が発生する前に、子供や孫といった相続人予定者に資産をシフトしておくことにより、将来の相続税額を減少させ、かつ、相続税の納税資金に困らないように対策をとるということです。
資産家の方にとっては、残すものがたくさんあるがゆえに、事前に考えておきたい問題です。
☆ 贈与による相続対策のメリット
贈与した資産はその後、相続税評価額が上昇しても、その上昇額が相続財産に影響しないということです。
たとえば、不動産(家・土地)を3500万円で親から子供へ贈与したとしましょう。その後、その近辺の再開発が進み、近くに駅ができて便利になり地価が上がりました。相続時には不動産の価値が4500万円に値上がりしたとします。
その場合、1000万円分について相続財産に入れて相続税を計算しますか?
その答えはNO.
贈与した時点で、不動産の贈与税の計算はおわり、上昇額を相続財産に入れて再計算する必要はありません。
またおじいちゃん、おばあちゃんから子供を通り越して、孫へ贈与した場合、相続を1回パスすることになるので相続税の課税を1回減らすことができます。
例えば、株価は、その企業の業績や資産状況、為替や景気、海外市場の影響などによって動きますが、何より一番の変動要因は「市場参加者の予想」なのです。
本人の意思で財産を移転できるというのもメリットのひとつです。あげたい財産をあげたい人に確実に渡せます。これによって、いわゆる争族にならないよう、予防できます。
☆ 贈与による相続対策のデメリット
多額の贈与は、贈与税の累進度合いが高いことから通常、贈与税の負担率は相続税の負担率よりも高くなってしまいます。
つまり、相続対策のために資産をシフトしたつもりが、かえって損することもあるのです。
相続税対策のために行う生前贈与の移転の場合には、贈与税負担率が相続税負担率よりも低くなるように計算して行うことになります。
またこの場合にかかる贈与税は相続対策にかかる必要経費だと自分で割り切ってください。
相続税には相続開始前3年以内に行われた贈与については「生前贈与加算」の規定があります。ケースによって相続人予定者以外の人といった加算対象とならない人への生前贈与も検討する必要があります。
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