2006 5月号 

プラネット通信

第20回 お金を貯める知恵9
FP 加藤惠子


 国がお金を調達するために発行する借用証書は「国債」ですが、平成15年に初めて発行された「個人向け国債」は一般の国債とはちょっと性格の違う金融商品といえます。当初は、「10年満期の変動金利」だけでしたが、今年の1月に「5年満期の固定金利」が発売され、現在は2種類となっています。では、その違いを比べてみましょう。

変動金利型
固定金利型
購入単位
1万円
1万円
期間
10
5
適用利率

10年国債の金利−0.08%

(0.05%が下限)

半年ごとに見直す変動金利

5年国債の金利−0.05%

(0.05%が下限)

固定金利
流動性
発行から1経過すれば、一部又は全部を換金できる。(国が買い取る)但し、その場合は直金2回分の利子(税引き前)相当額を支払う。 発行から2経過すれば、一部又は全部を換金できる。(国が買い取る)但し、その場合は4回分の利息(税引き前)相当額を支払う。
発行頻度
年4回(4、7、10、1月) 年4回(4、7、10、1月)
税金
利払い時に20%が源泉徴収される。 利払い時に20%が源泉徴収される。


 固定金利がいいのか変動金利がいいのかは、今後の金利の向きがどちらを向いているかがポイントになります。

 日銀の量的緩和解除を受け、長期金利、短期金利とも上昇傾向にある現在においては、先のことは断言できませんが、変動金利型の方がいいでしょう。ただし、変動金利型は10年間は固定する必要があります。1年経過すれば換金できますが、その際直近2回分の税引き前の利子相当額がペナルティとしてとられてしまうからです。固定金利型は5年間ですが、換金できない期間は2年、途中換金のペナルティは4回分(2年分)の利子相当額です。どちらのタイプにしても途中換金はしない前提で購入した方が賢明です。

 ちなみに、18年4月に発行された変動金利型の適用利率は0.85%、固定金利型の適用利率は1.01%でした。「固定金利型を買って5年間は換金しないでほしい」という国の意向が感じられます。大事なことは、目先の利率よりも、今後の金利状況を考えて選ぶことです。

 又、個人向け国債を購入する際、「初回の利子の調整額」をとられることがあります。これは、発行日から初回の利子支払日までの期間が6ヶ月に満たない場合、6ヶ月分の利子と実際に保有していた期間分の利子の差額を調整するために支払うものです。例えば、次回の発行日は7月18日ですが、初回の利子支払日は平成19年1月15日なので、実際に保有する期間は6ヶ月に3日足りないことになります。そのため、この3日分の利子を、購入する時に額面金額とは別に支払うことになっています。

 又、国債は国がその支払いを保証してくれている金融商品であり、それも人気の一要因であると思われますが、債券はあくまでその発行体に対する「借用証書」です。「国債を買う」ことは日本という国にお金を貸しているのだということを忘れてはなりません。


 

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子

地震保険料控除の創設


 平成18年度の税制改正により、地震保険料が控除されることになりました。

 地震保険とは、火災保険に付帯して加入する保険で、たとえば火災保険の対象金額(家財の金額)が2000万円だったとすると、その半分1000万円分まで入れます。

※ 最大で火災保険の保険金額の50パーセントまで加入でき、加入の目安
  として30〜50パーセントの範囲内でご自分で決められます。

 この地震保険料控除の創設というのは、地震保険に加入した場合、所得金額から保険料の全額、住民税から保険料の50パーセントを所得控除することができるというものです。

 ただし上限があり、所得税50,000円、住民税25,000円です。

 従来の損害保険料控除(長期の契約のもの)の上限が所得税15,000円、住民税10,000円でしたから、今回のこの地震保険料控除は税金面からみて有利な規定だといえるでしょう。

 地震保険料控除は、所得税については2007年分、住民税については2008年分徴収分からとなっています。経過措置として、2006年12月31日までに加入した長期損害保険契約等にかかる保険料は、今までの損害保険料控除が適用されますので(上限・所得税15,000円)対応を急がなければならないというものではありません。

 しかし、転ばぬ先の杖、万が一の地震に備えて、この地震保険の加入も含めて対策を考えておかれた方がいいでしょう。

 ところで、増税がささやかれるこの時代に、なぜこのような節税につながる制度ができたのでしょうか?

 現在の地震保険の加入率は、約2割です。つまり8割の方はまだ未加入なのです。

 いくら火災保険に入っていても、地震が原因でおこった火災の発生では火災保険でカバーされないというのに・・・未加入者が多いという事態が、阪神大震災を経験したにもかかわらず変わらないのです。

 そこで政府は、地震災害に対する国民の自助努力の促進と、地域災害時における将来的な国民負担の軽減をはかる観点から、この制度を新しく作ったのです。

 最近、皆様のご存知のとおり、ジャワ島中部で大地震が起きました。この地震は断層が横にずれる震源の浅い直下型地震で、阪神大震災と共通点が多いと言われています。阪神大震災がおこったから、もう日本では地震はおこらないという保障がない以上、自分たちでできる努力は、さまざまな観点からしていかなければならないと思います。

 


 


 


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Last modified 2006.11.14