比較的リスクの少ない「公社債」(国債・地方債・社債など)のみで運用し、株式を全く組み入れない投資信託を「公社債投資信託」といいます。変動の激しい株式を組み入れないことでリスクを軽減させ、安定した収益を得ることを目的とした金融商品といえます。ただし、銀行預金とは異なり元本保証はありません。銀行預金の収益は「利息」という形で支払われますが、投資信託の収益は「分配金」と「投資差損益」です。
では、公社債投資信託の代表的な商品を見ていきましょう。
○ MMF(マネー・マネジメントファンド)
国内外の短期(主に1年以内)の公社債やCP(コマーシャル・ペーパー:企業が短期の資金を調達するために発行する自己宛の無担保約束手形)などの短期金融商品で運用する、追加型の投資信託です。株式には投資しません。毎日決算を行い、原則として信託財産から生ずる利益の全額を毎日分配します。分配金は、毎月の最終営業日に1か月分をまとめ、分配金に対する税金を差し引いた上、自動的に再投資されます。買付単位は1円以上1円単位で、買付手数料はかかりません。運用手数料である「信託報酬」が毎日引かれていきますが、この信託報酬率はファンドの運用実績等により日々変動します。換金については、30日未満の場合は換金手数料(信託財産留保額)がかかりますので、30日は換金しないつもりで購入した方がいいでしょう。
追加型投資信託とは・・・ファンドの運用開始後も購入できる投資信託。日々のファンドの値動きを見ながら、タイミングを計って売買を行なうことができる商品です。
これに対して
単位型投資信託とは・・・投資家が購入できる期間が、当初の募集期間に限られた投資信托。信託期間は、投資信託ごとにあらかじめ決められています。 |
○ MRF(マネー・リザーブ・ファンド) 証券総合口座に預かったお金の自動運用サービス用に開発された追加型の公社債投資信託です。信用度が高く、残存期間の短い国内外のCPや公社債で運用します。収益分配金が毎日分配され、1か月分まとめて再投資されるといった点はMMFと同じです。又、銀行の総合口座の普通預金のように決済機能が付加されていて、カード代金の自動引き落としなどができます。信託報酬はかかりますが、MMFのような30日未満の換金手数料はかかりません。
○中期国債ファンド
中期(1年から5年程度)の国債を中心に運用される追加型公社債投資信託です。信託期間は無制限で、信託報酬、30日未満の引き出しの際の信託財産留保額はあります。毎日決算を行ない、税金の引かれた分配金が1か月分まとめて再投資されるなど、MMFとよく似ていますが、違いは、主に投資している債券の償還期間の長さ、投資対象の債券の種類です。
中期国債ファンドが国債を中心とするのに対し、MMFは国債のほかにも公債・社債にも投資しています。
2001年の投資信託の時価会計導入(1年を越す債券は、非上場であっても時価評価しなければならない)に伴い、中期国債ファンドは予想分配型から、MMFと同じ実績分配型となっています。MMFと商品性が近づいたため、販売を中止した証券会社もあります。
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