2006 11月号 

プラネット通信

第26回 お金を貯める知恵M リスクマネジメント その2
FP 加藤惠子


 リスクをカバーするための手段の一つとして「保険」がありますが、ではまず、「人」に関するリスクから考えてみましょう。リスクの状態の軽い順に列挙してみます。

  • 病気やけがで働けなくなる
  • 入院する
  • 身体障害になる
  • 高度障害・介護状態になる
  • 死亡する

 どの場合も、治療費がかかる、諸雑費がかかる、収入が減る、など経済的な負担は避けられません。この経済的な負担をカバーするために保険に加入するのですが、かつては、保険といえばイコール「死亡リスク」をカバーする死亡保険が主流でした。「亡くなったらいくら必要?」ということになるのですが、この「いくら?」に全く根拠がなかったのが現実ではないでしょうか。保険金額が3000万円とか5000万円とか何となく決められ、保険料がいくら払えるから保険金額はこのくらいとか、保障がいつまであるのかなどは全く考えていない人もたくさんいました。加入しているだけで安心していたところ、ある時からその内容に何となく疑問を持ち、「保険の見直し」が盛んに行なわれるようになりました。
  でも、この「見直し」を本当にベターな見直しにするためには、実は保険の知識が不可欠でした。知識がなく、言われるまま見直しをした場合は、見直しどころかかなり悲惨な状況になってしまうこともあり、ある時期それが社会問題になったこともあります。保険会社も利益を追求しなければ経営に支障をきたすので仕方がないともいえますが、知識のある募集人と知識のない契約者が同じ土俵で綱引きをしたら、どちらに引っ張られてしまうかは一目瞭然です。

 でも、契約者にも非がなかったわけではありません。「保険」というものを本当に大事に考えなかったからです。保険は、「勧められて仕方なく入るもの」「入ってあげるもの」と思っていた人達が多かったのです。募集人も「加入してもらった」と喜びました。
  確かに、契約が成立すれば募集人の収入にプラスになるのですから当然かもしれませんが、でもあくまで「契約」ですから、双方に益がなければ意味がありません。契約者自身がその「益」に対して無頓着すぎたのです。

  毎月銀行などから引き落とされる保険料は、一ヶ月分ではたいしたことはなくても、長い年月の間にはかなりの額になります。大きな買い物なのに何故しっかり考えなかったのでしょうか?それは、「保険」という商品の特性が理解されずにきたことと、その販売方法が最大の要因であったのではないかと思います。保険会社にしても、募集の際の自発的な申込みにチェックをかけるなど、理解しがたいマニュアルがいまだに残っています。

  でも、最近はしっかり勉強して保険商品を選ぶ契約者も増えてきました。ただ、世の中に出回っている商品があまりに多く、又仕組みが複雑になってわかりづらいことも確かです。更に、仕組みが複雑になればなるほど、保険会社にとっては有利なのではないかと思われる商品が多いような気もします。

 「医療保険に入ってはいけない」という本が売れているようですが、「入ってはいけない」のではなく、「上手に賢く利用する」ことが大切です。保険も金融商品のひとつであると考えるなら、金融商品というものに完璧なものはないのですから、そのメリットとデメリットを考え、自分に合った商品を上手に利用すれば、こんなに役に立つ金融商品は他にありません。「人間の知恵」がもたらしたすばらしい「発明」である保険商品を商業ベースに振り回されることなく、しっかり選び活用することが求められています。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子


家計の税金・奥さまの収入の上限は?

 奥さまが働く場合、「ご主人の扶養の範囲内で働きたい。その場合の上限はいくらまで働くことができるの?」ということを気にされる方が多いです。
  年末も近づいてくると、だんだんとそういったことも考えて、パートの場合だと労働日数や時間を調整する時期ですね。

○103万円
 所得税において、配偶者控除を受けるには103万円を超えるといけません。奥さまの給与収入が年間103万円を超えると、奥さま自身も課税されます。そもそも103万円という数字の根拠はというと、次の式からきています。

38万円(基礎控除の金額)+65万円(給与所得控除の最低金額)=103万円

 ここで注意していただきたいのは、この103万円という数字はパート収入などの給与所得をもらっている場合の話です。
 たとえば奥さまが在宅で働いている場合(SOHO)や、自分でネイルサロンを開いている場合など、給与所得以外の収入を得ている場合は、別になります。
  そういった場合は事業所得か雑所得となりますので、給与所得控除(65万円)が使えません。ゆえに合計所得金額が38万円(基礎控除の金額)を超える年間収入があると、その夫は配偶者控除を受けることができなくなります。

○その他のチェック項目は?

(1)夫の会社の家族手当
 会社によって、支給の有無や金額、支給要件(妻の収入など)が変わってきますので、ご主人の会社の規定を調べてみましょう。

(2)健康保険の被扶養家族の範囲
 原則として、年収が130万円を超えると夫の健康保険の被扶養家族から外れます。
 この場合、自分の会社の健康保険に加入するか、国民健康保険に自分で加入し、保険料を支払います。

(3)厚生年金保険の被扶養家族の範囲
 原則として、年収が130万円を超えると夫の被扶養配偶者から外れます。

 よって3号被保険者でなくなります。そこで自分の勤務先の厚生年金保険に加入し2号被保険者となるか、国民年金保険に加入し1号被保険者となります。 3号→1号又は2号に変わることで、保険料を支払わなければならなくなります。








 


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Last modified 2007.3.29