東京オリンピックを覚えている年代と言えば、50代以降の方々に限定されるでしょうか。世界の祭典である「オリンピック」が東京で初めて開催されたのは昭和39年10月のことでした。10月10日の体育の日(現在は連休にするため10日とは限りませんが・・・)が東京オリンピックの開会式の日だったことを、若い年代の方は知らないかもしれませんね。では、その頃の日本の物価水準はどのくらいだったと思いますか?ちょうど、日本の高度経済成長が始まった頃です。
ガソリン1リットル50円、タクシー初乗り100円、映画館の入場料500円、JR最低運賃20円、官製はがき5円、大学の1年間の授業料(私立文系)8万円・・・
では現在は?
すべてが同じように上がっているわけではありませんが、タクシーは660円(650円)、JR最低運賃は130円、官製はがきは50円、大学の授業料は学校差があると思いますが軽く数十万円はするでしょう。
ちなみに、JR最低運賃は戦後の昭和20年には0.1円(つまり10銭)、昭和26年に10円となり、私が生まれた頃(?)は20円、今27歳の娘が生まれた年に100円になりました。現在の130円は昭和59年からです。タクシーの基本料金は、戦前は1円(これが円タクと言われた所以です。)、戦後、100円でスタートしましたが、高すぎるということで80円に値下げされ、これが東京オリンピックの年まで続きました。その後、数年ごとに値上がりし、平成7年から現在の料金となっています。
デフレが長く続いたため、「物の値段は上がる」という概念が希薄になっていますが、経済が成長する過程においては、物価が上がっていくインフレは避けては通れない現象であると言えるでしょう。デフレ経済もそろそろ終わりそうな気配の昨今、物価が上がっていくかもしれないことを念頭においた資産運用が求められています。インフレによってお金の価値が変ることを考えてみることが必要です。
例えば、現在の200万円と等価な金額は、インフレ率によって下記の表のように変ります。
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5年後 |
10年後 |
20年後 |
30年後 |
0.00% |
200万円 |
200万円 |
200万円 |
200万円 |
1.00% |
210万円 |
221万円 |
244万円 |
270万円 |
2.00% |
221万円 |
244万年 |
297万円 |
362万円 |
3.00% |
232万円 |
269万円 |
361万円 |
485万円 |
4.00% |
243万円 |
296万円 |
438万円 |
649万円 |
5.00% |
255万円 |
326万円 |
531万円 |
864万円 |
もし、今後、毎年2%のインフレになったら、現在200万円で買えていたものが、244万円用意しなければ買えなくなるということです。つまり100万円、200万円という金額はあくまで「額面」であり、お金の価値は物の値段によって変化します。100円でタクシーに乗れた時代の1万円と現在の1万円の価値は明らかに違うのです。
インフレを考慮した資産運用が必要なことは明らかですが、保険もインフレを考えて選択することが必要ではないでしょうか。例えば3,000万円の死亡保険に加入していたとして、長い年月の間にインフレによってお金の価値が変化しても、保険会社から受取る保険金が3,000万円だったらどうでしょう。老後のためにと加入していた個人年金の年金額が、インフレによって価値が変ってしまったら、老後の資金計画は狂ってしまうかもしれません。将来役に立つことを第一の目的として保険を考えることが必要な時代になってきました。
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