2007 1月号 

プラネット通信

第28回 リスクマネジメント その4
FP 加藤惠子

 東京オリンピックを覚えている年代と言えば、50代以降の方々に限定されるでしょうか。世界の祭典である「オリンピック」が東京で初めて開催されたのは昭和39年10月のことでした。10月10日の体育の日(現在は連休にするため10日とは限りませんが・・・)が東京オリンピックの開会式の日だったことを、若い年代の方は知らないかもしれませんね。では、その頃の日本の物価水準はどのくらいだったと思いますか?ちょうど、日本の高度経済成長が始まった頃です。
  ガソリン1リットル50円、タクシー初乗り100円、映画館の入場料500円、JR最低運賃20円、官製はがき5円、大学の1年間の授業料(私立文系)8万円・・・

 では現在は?
  すべてが同じように上がっているわけではありませんが、タクシーは660円(650円)、JR最低運賃は130円、官製はがきは50円、大学の授業料は学校差があると思いますが軽く数十万円はするでしょう。
  ちなみに、JR最低運賃は戦後の昭和20年には0.1円(つまり10銭)、昭和26年に10円となり、私が生まれた頃(?)は20円、今27歳の娘が生まれた年に100円になりました。現在の130円は昭和59年からです。タクシーの基本料金は、戦前は1円(これが円タクと言われた所以です。)、戦後、100円でスタートしましたが、高すぎるということで80円に値下げされ、これが東京オリンピックの年まで続きました。その後、数年ごとに値上がりし、平成7年から現在の料金となっています。

  デフレが長く続いたため、「物の値段は上がる」という概念が希薄になっていますが、経済が成長する過程においては、物価が上がっていくインフレは避けては通れない現象であると言えるでしょう。デフレ経済もそろそろ終わりそうな気配の昨今、物価が上がっていくかもしれないことを念頭においた資産運用が求められています。インフレによってお金の価値が変ることを考えてみることが必要です。

  例えば、現在の200万円と等価な金額は、インフレ率によって下記の表のように変ります。

5年後

10年後

20年後

30年後

0.00%

200万円

200万円

200万円

200万円

1.00%

210万円

221万円

244万円

270万円

2.00%

221万円

244万年

297万円

362万円

3.00%

232万円

269万円

361万円

485万円

4.00%

243万円

296万円

438万円

649万円

5.00%

255万円

326万円

531万円

864万円

 もし、今後、毎年2%のインフレになったら、現在200万円で買えていたものが、244万円用意しなければ買えなくなるということです。つまり100万円、200万円という金額はあくまで「額面」であり、お金の価値は物の値段によって変化します。100円でタクシーに乗れた時代の1万円と現在の1万円の価値は明らかに違うのです。

 インフレを考慮した資産運用が必要なことは明らかですが、保険もインフレを考えて選択することが必要ではないでしょうか。例えば3,000万円の死亡保険に加入していたとして、長い年月の間にインフレによってお金の価値が変化しても、保険会社から受取る保険金が3,000万円だったらどうでしょう。老後のためにと加入していた個人年金の年金額が、インフレによって価値が変ってしまったら、老後の資金計画は狂ってしまうかもしれません。将来役に立つことを第一の目的として保険を考えることが必要な時代になってきました。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子


株式・投資信託に対する税金

 株式や投資信託に対する税金のことを少し考えてみましょう。

 株式や投資信託の運用の結果、運用がうまくいって利益が出ても、全部が自分のものになるわけではなくその利益に対して税金がかかっているのです。

 株式の特定口座で、源泉徴収ありの取引をされている方は、あまり気にしていらっしゃらないかもしれませんが、利益確定で売り注文を出したときに、利益から税金が引き落とされたものが、口座に振り込まれているのです。

 現在は国の政策により、貯蓄が主だった個人マネーが証券市場へ流れてくるよう、期間限定で軽減税率が適用されています。簡単にいうと、通常は20%かかる税金が、今は10%になっているのです。そして、平成19年度の税制改正による証券税制の見直しにより、1年間延長になり平成20年の12月31日の取引分まで、この税率10%が適用されることになりました。

 また配当(上場株式等の配当金、投資信託の収益分配金など)に関しても、平成21年の3月31日までの支払い分まで軽減税率10%に延長されました。

 今回の措置は、(国はまだまだ個人マネーの流入に期待しており)税率が上がる前に売り注文が増え、その結果、株価が急に下がることを懸念したのではないかと思われます。

 今後も税制改正等で、変更される可能性はありますが、当面は平成20年の12月31日まで、税金が10%というメリットを生かした株式運用を心がけてはいかがでしょうか。

 逆に、株式を売却して損失が出た場合、特定口座で源泉徴収ありの取引をされている方でも、確定申告をご自分でされることにより、その損失を3年間繰越できます。

 つまり、次年度以降に利益が出た場合、相殺できるのです。昨年は損失が出たけれど、今年、来年は利益を出すことに期待!という方は、この確定申告をされておくとよいですね。


 


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Last modified 2007.4.3