2007 6月号 

プラネット通信

第31回 リスクマネジメント その9
FP 加藤惠子

 40歳以上の人がお金を出し合って(保険料を負担して)、もし介護が必要な状態になったとしても人間らしく生きられるようにしよう、家族の負担を軽減しよう、皆で支えあおうと生まれた制度が「公的介護保険」です。2000年4月にスタートした強制加入の社会保険制度でもあります。財源は、保険料と公費、更に利用者からの1割負担で賄われています。昨年の改正では、介護予防に重点が置かれ、又軽度な要支援の判定が2段階に分けられました。

  受けられるサービスには、在宅サービスと施設介護サービスがあり、認定された要介護度により利用限度額があり、その範囲で利用できるしくみになっています。限度額で足りない場合は「上乗せサービス」を、更に決められたサービス以外のものを希望した場合は「横出しサービス」をそれぞれ自己負担で利用します。利用したサービスの1割は自己負担となり、又、介護保険料や諸雑費の出費を考えると、経済的な負担はかなり重いと言えるでしょう。

  平均寿命が延びて長く生きられるようになったことはうれしいことですが、元気で活動的に生きられる長さは又別です。WHO(世界保健機関)が発表している「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか?平均寿命から、病気や痴呆、衰弱など介護状態となった期間を差し引いたものです。日本人の「健康寿命」は男性が71.4歳、女性が75.8歳、平均74.5歳で、平均寿命とともに世界一となっています。でも平均寿命より7年から10年短いということは、晩年の数年間は何らかの理由で元気ではないことの確率は高いとみるべきでしょう。

  厚生労働省の「介護保険事業状況報告書」(平成17年12月分)によると、要介護2以上の認定者は約216万万人、要支援、要介護1の認定者を含めるとこの倍の数字になります。又この数字は65歳以上の高齢者の15.6%にあたり、誰でもいずれは年をとっていくことを考えると他人事ではない問題です。残念ながら公的介護保険が万全とはいえない状況の中で、「自分がもし介護状態になったら・・・」を考えて、何らかの準備しておくことは必要不可欠の時代になってきていると言えます。

 経済的な準備はもちろん大切ですが、そういう状態にならないような普段からの努力も大切ですね。健康寿命を左右する3つの「年齢」は、「血管年齢」、「骨年齢」、「腸年齢」だそうです。「寝たきり」の二大原因が脳卒中と骨折であることからもうなずけます。又、ケニア南部からタンザニア北部に住むマサイ族のほとんどは、肥満度(BMI)、血圧、コレステロールの値が正常なのだそうです。原因として常に牛乳(発酵乳)を飲み、食塩をあまり取らない食習慣が影響しているのではないかと言われています。ちなみに、健康寿命を延ばす5つのポイントは
  • 塩分を控える
  • 動物性脂肪の取り過ぎに注意
  • 野菜と果物
  • 乳製品
  • 大豆・魚・海草
だそうですが、皆さんの食生活に当てはまりますでしょうか?

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子


クーリングオフ制度

 クーリングオフ制度という言葉を聞いたことがあるけれど、よくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 一定の要件のもとで、消費者からの一方的な意思表示のみによって、契約の申し込みの撤回、契約の解除を行うことを認めて、一般消費者の保護を図るものです。

 クーリングオフできる契約は、販売訪問や電話勧誘など、法律で指定された契約に限られています。たとえば、電話によるキャッチセールスで英会話学校の契約やエステの契約など、高額な契約を結んでしまった人に対して、頭を冷やして考えたらやっぱり自分には不要だったという契約者を、泣き寝入りさせることなく保護しようというものです。

◇クーリングオフの方法

 「書面」による意思表示によって、申し込みの撤回・契約の解除ができます。電話では、言った、言わないというトラブルが起きますので、書面で行います。

葉書を使ったクーリングオフの方法・文例

表             裏

◇クーリングオフの期間

 クーリングオフができることを記載した書面の交付等の日から起算して数えます。契約日からの起算ではないので注意しましょう。

 訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務(先ほど例にあげた英会話学校やエステのようなケース)などはクーリングオフができることを記載した書面の交付等の日から数えて8日間です。クーリングオフの対象により期間は異なってきます。

 クーリングオフ制度の対象品目を従来は限定してきましたが、高齢者を狙った悪質商法の被害が相次いでいることを受けて、逆に「対象除外品目」を定め、それ以外はすべて適用対象とするように経済産業省は推進している最中です。

 窮地に陥ったときの救済方法を知り、賢い消費者を目指しましょう。

 


 


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