2007 8月号 

プラネット通信

第38回 老後に備える その1
FP 加藤惠子

 先日、平成18年度の日本人の平均寿命が厚生労働省から発表されましたが、女性は85.81歳で世界第1位、男性も79.0歳でアイスランドに次いで第2位だそうです。合計特殊出生率は1.32、65歳以上の人口比率は約21%、人口ピラミッドはいよいよ釣鐘状になり、このまま行くと、50年後には逆ピラミッドに近い形になることが予想されます。

 「老いては子に従え」という言葉がありますが、老後は子供に面倒を見てもらうことが当たり前の世の中は確実に終焉していくでしょう。又、今後、老後の準備をするかしないかは老後生活の大きな分かれ道で、どちらに行くかは自己決定に委ねられますが、今までの常識に安穏していると大変なことになることは間違いありません。

 では、今後私達に求められる「老後の備え」とはどんなことでしょうか?かつて誰も経験したことのない「超高齢社会」において求められることは、「精神的にも経済的にも自立して生きる心構え」ではないかと思います。そしてそのためは、「殖やす・使う・遺す知恵」が必要です。「殖やす」については、「お金を貯める知恵」で書かせていただきましたので、「使う・遺す」について考えてみたいと思います。

 お金はいくら殖やしても、使わなければ意味がありません。使うためにあるのが「お金」です。50代ともなると、漠然とですが、何となく先が見えてきます。いつまで生きるかは全くわかりませんが、そのわからない「リミット」を何となく見据えながら、お金を上手に、有意義に使っていくことの大切さ、むずかしさを実感しています。「一生懸命貯めることに専念しても、明日死んでしまったら・・・」若い頃には考えなかったそういう思いが、今は不自然ではなく湧きあがってきます。お金はお墓には持っていけません。予想以上に長生きして、又は老後病に伏してお金が足りなくなることは困りますが、貯めたものを使わずに逝くことはむなしいですね。「貯める知恵」と同時に「使う知恵」の必要性を感じます。
 
 でも、高齢になって、もし介護状態になったり、判断能力が衰えてしまったりしてお金の管理ができなくなってしまったら・・・そういう状況になったとしても、どのように使いたいかをきちんと伝えておくことができる制度が、「任意後見制度」です。公的介護保険が創設された時に、その契約などの手続きをサポートする人の必要性からできた制度です。その特徴は・・・

  • 元気なうちに、将来サポートしてくれる人を決めて委任契約を結んでおける。
  • 判断能力が衰えてきた段階で、はじめて法的なサポートがうけられる。
  • 財産管理だけでなく、心身の状態および生活状況に配慮したサポートも受けられる。
  • 家庭裁判所が間にはいり、任意後見人を監督してくれる。

 子供がこの「任意後見人」になることもできますが、誰が親の後見人になるかでこども同士もめるケースも多く、第三者に頼んだ方がいい場合もあります。ケースバイケースですが、特に経済的な面においては、親子はお互いに甘い期待は持たず、自立した関係でいたほうがいいかもしれません。

 どんな状況になろうとも「最後まで自分の思い通りに使う」ことを可能にしてくれる制度が、この「任意後見制度」であるといえます。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子


ペットにかかる費用

 今や空前のペットブームで、ペットと一緒に暮らしたいと思う人が増えています。
 ペット可のマンションやアパートが増えたり、ペットと一緒に暮らす家(たとえば犬・ネコ用の専用扉がついていたり、散歩から帰ってきた時の足洗い場が設置されているといった工夫がなされている家)を住宅メーカーが販売したりしています。

 ある企業のCMで、“ペットとの暮らし・プライスレス!!”というのがありましたが、気持ちの面ではまさにそのとおり。家族の一員として可愛い存在です。
 現実問題として、ペットと一緒に暮らすとなるとどのくらいの費用がかかるか、みていきましょう。

○ 飼い始めにかかる主な費用
  購入費用・・・犬*平均12万4441円  猫*7万2194円
  その他の費用・・・ケージ、トイレ、ペット用の食器、蓄犬登録費用

○ 毎年かかる主な費用
  えさ代・・・犬*6万3936円(月5328円)猫*4万4460円(月3705円)
  動物病院代・・・犬*5万1592円  猫*3万5226円
  ペットホテル・・・犬*2万1780円  猫*1万4000円
           (犬、猫とも年平均3.8日)
  美容室代(シャンプー・カット)・・・4万2388円
           (年平均7.2回、1回あたり5901円)

※東京都生活文化局が2001年に発表した「ペットに関する調査報告書」の平均値より

 これ以外にも、かわいいペットのための洋服代、不妊・去勢費用・室内で飼う小型犬の場合だと昼間の不在時に部屋の温度調節管理が必要になることもあるので、光熱費のアップも考えておいた方がいいでしょう。

  ペットは人間と違って健康保険がないので、医療費がかなりかかります。我が家の犬(小型犬)も今年7歳になり、今までは病気知らずで、狂犬病の注射とフィラリアの予防薬、ワクチン接種くらいでしか病院へ行ったことがなかったのですが、今年に入ってからは首のヘルニアになったり肛門の病気になったりして病院通いが重なり、上半期だけで医療費が約6万円かかりました。注射1本5000円という世界ですから、お金がかかるのも当然ですね。

  ペットも老後はもっとかかるものです。
  ペット保険に加入するという方法もありますが、年間予算を医療費を含めた金額で立てておき、医療費を確保・貯金しておく方法もあります。

  また、ペットが人間や建物に害を与えたときに備えて、個人賠償責任保険に加入しておくのも、人間とペットが共存して快適な生活を送る上での備えのひとつです。個人賠償責任保険は費用もそれほどかからず、また火災保険などにセットされていることもあるので、確認してみましょう。

 


 


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Last modified 2007.10.22