2007 11月号 

プラネット通信

第38回 老後に備える そのC
FP 加藤惠子

  「人生七十古来稀なり」とは、中国の詩人杜甫が47歳の時に作った詩の一節です。この時から70歳を古来稀なる長寿として「古希」と称して祝福するようになったと言われています。8世紀の唐の時代のことです。
 平均寿命では世界一を誇る日本でも、明治・大正時代までは40歳代、男女とも50歳を超えたのは昭和22年の生命表上においてでした。「終身雇用」という言葉がありますが、現役を終える定年あたりが平均死亡年齢だったことが、ここからもうかがわれます。しかし、その後わが国の平均寿命はどんどん延び、女性は昭和35年に、男性は昭和46年に「古希」である70歳を超えています。そして、昨年の平均寿命は、女性が85.81歳、男性が79.0歳と前年の数字を更に更新しました。

 このように、日本において平均寿命が着実に上昇してきた背景としては、
  • 戦後の公衆衛生の進歩
  • 医療体制の充実
  • 医学の進歩<
  • 生活水準の向上

などが挙げられますが、具体的には、昭和45年頃までは「乳幼児死亡率の低下」、その後は65歳以上の高齢者層の死亡率の低下」が主な要因となっているようです。最近の動向をみると、脳卒中死亡率の低下が大きく貢献しているようですが、一方、ガンの死亡率は増加していますので、特に男性の場合はこの部分が平均寿命にかなり影響しています。

 医学の進歩により寿命は確実に延びてはいますが、高齢になればなるほど病気になったり、又ケガをしてしまうとリスクも高くなり、その対策や備えは考えておかなければならないでしょう。

 少子高齢化の進展に伴い、高齢者の医療制度が変化しようとしています。現在は、75歳以上(寝たきりなど一定の障害状態にある場合は65歳以上)になると、すべての人がそれまでの医療保険制度から老人保健制度に移行することになっています。この制度においては、自己負担割合やその上限額が軽減されるようになっていて、その内容は以下の表になります。


医療費の
自己負担率

ひと月あたりの自己負限

外来


一定以上所得者

3割

44,400円

80,100円+(実際に
かかった医療費−
267,000円)×1%

一  般

1割

12,000円

44,400円

低所得者U

8,000円

24,600円

低所得者T

15,000円


  老人保健制度は、誰もが健やかな老後を送ることを目指し、高齢者の医療費を国民皆で公平に負担し、高齢者の医療を安定的に行なうことを目的としてできた制度ですが、少子高齢社会においては、その財源を確保することはきわめて困難な状況となっています。世の中の制度は状況に応じて変えていかなければならず、そのため、今後新しい「後期高齢者医療制度」が平成20年に創設されることになっています。ただ、今年になって、昨年、社会保障審議会が決定した内容が一部凍結されるなど、いまだ流動的ではありますが、高齢者のための独立した医療保険制度は今後不可欠と思われます。

 病気なって入院した場合、自己負担分以上の治療費は高額療養費として戻ってきますが、先進医療の技術料や差額ベッド代、食事代の一部、雑費などは別途かかってくるので、そのための何らかの備えは必要です。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子


電子マネー

 巷では、新しく発行される電子マネーが増えています。
 小銭をもたずに買い物ができたり、ポイントが付与されるのでおトクな面もある反面、電子マネーの種類によっては、「A店では使えるけれどB店では使えない!」といったことや紛失時の対応の問題もありオールマイティーではないのが特徴です。
 そこで、主な電子マネーの概要を知って、上手に使いこなしましょう。


E d y(エディ)

 
この名前の由来は世界中で広く使われることを願って、ユーロ(Euro)ドル(Dollar)円(Yen)のそれぞれのアルファベットの頭文字をとっていることからきています。
 2007年8月現在で、発行枚数が約3190万枚。利用可能店舗数が約59000店舗もあります。
 たとえば、ファミリーマート、サークルKサンクス、am/pm、ポプラといったコンビニで使用できます。9月1日よりローソンでも使用でき、チャージは11月より導入予定です。

 買い物代金をカードではなく携帯電話で支払える「おサイフケータイ」への対応もあります。また、複数のクレジットカードでの入金(チャージ)ができますので、電子マネーの購入代金をクレジットカード支払いにすれば、クレジットカードのポイントも獲得できるという技も使えます。(ただしカード会社によりポイントの付与の有無があるので、確認は必要です。)紛失時に利用を停止する機能は、残念ながらついていません。     


Suica (スイカ) と PASUMO(パスモ
)

 両者とも鉄道会社が運営主体ですので、電車に乗る際に利用するのが一番便利です。Suica(スイカ)はJR東日本が運営主体で、今年の3月〜首都圏の私鉄各社が運営主体のパスモと相互利用できるのが強みです。たとえば、スイカを持っていれば東急電鉄の電車に乗ることもできるし、東急電鉄沿線の駅でスイカのチャージももちろんできます。
 スイカには、Suica定期券とMySuica(記名式)、Suicaカードの3種類がありますが、このうち、前者2つには小学生以下の子供が使えるこども用もあります。そのため、入金しておくことにより、改札機にタッチするだけで自動的に乗車区間の小児運賃を精算してくれるので、わざわざこども用の切符を買う必要がなく便利です。パスモにも小児用パスモがあり、こちらも同様に便利です。

 両者の違いとしては、スイカが「おサイフケータイ」への対応があるのに対して、パスモはない点が挙げられます。
 両者とも、たとえばコンビニではミニストップとファミリーマート(関東1都6県)で使用できますが、Edyに比べると使用範囲が狭いといえるでしょう。利点として記名式のものは紛失時の利用停止機能がついているので、紛失した場合は運営主体に連絡を入れれば、電子マネーを利用できなくしてもらえます。この点は安心できる点ですね。

 


 


これまでのAdvice

 プラネット通信 2007 10月号
 プラネット通信 2007 8月号
 プラネット通信 2007 6月号
 ●プラネット通信 2007 4月号
 プラネット通信 2007 2月号
 プラネット通信 2006 12月号
 プラネット通信 2006 10月号
 プラネット通信 2006 8月号
 プラネット通信 2006 6月号
 プラネット通信 2006 4月号
 プラネット通信 2006 2月号
 プラネット通信 2005 12月号
 プラネット通信 2005 10月号
 プラネット通信 2005 8月号
 プラネット通信 2005 6月号
 プラネット通信 2005 4月号
 プラネット通信 2005 2月号
 プラネット通信 2004 12月号
 プラネット通信 2004 10月号
 プラネット通信 2007 9月号
 プラネット通信 2007 7月号
 ●プラネット通信 2007 5月号
 プラネット通信 2007 3月号
 プラネット通信 2007 1月号
 プラネット通信 2006 11月号
 ●プラネット通信 2006 9月号
 ●プラネット通信 2006 7月号
 プラネット通信 2006 5月号
 プラネット通信 2006 3月号
 プラネット通信 2006 1月号
 プラネット通信 2005 11月号
 プラネット通信 2005 9月号
 プラネット通信 2005 7月号
 プラネット通信 2005 5月号
 プラネット通信 2005 3月号
 プラネット通信 2005 1月号
 プラネット通信 2004 11月号
 プラネット通信 創刊号
 ワンポイントアドバイス 保険の予定利率って何?



Copyright 2001-2008 K-Planet Corp. All rights reserved.
Last modified 2008.2.12