2009 7月号 

プラネット通信

がん治療最前線
FP 加藤惠子


 厚生労働省の「人口動態統計」(2006年)によると、年間死亡者数約108万人のうち、がん(悪性新生物)で亡くなった方は約33万人、3人に1人はがんで亡くなっていることになります。でも、今がんは「不治の病」ではなく、「医療技術の進歩」と検診率の増加による「早期発見」により「直せる病気」になってきていることも確かです。

 その医療技術のひとつである「重粒子線治療」を行なっている千葉県稲毛の「放射線医学綜合研究所」と現在建築中の群馬大学の施設を見学させていただきました。今日本では、この他に兵庫県に同様の治療施設があります。
 現在、主ながんの治療法は3つです。

  • 外科療法
  • 放射線療法
  • 化学療法
 このうち、放射線療法は局所療法で、放射線で細胞核の中のDNAに分子レベルの傷をつけ、もうそれ以上細胞分裂ができないようにしてがん細胞を殺す方法です。たくさん照射すればするほど効果はありますが、同時にまわりの正常細胞にもダメージを与えてしまうのが従来の放射線でした。

 それに対して、重粒子線は体の中の病巣に焦点を合わせ、決まった深さでぴたりと止まることができ、しかも止まったところだけで強い力を発揮できる、つまり、がん細胞だけに集中してダメージを与えることができる特徴を持っています。治療時間は、位置合わせに時間がかかりますが、実際の照射は2〜3分、痛みや熱さ、違和感を感じることは全くないそうです。

 がんは働き盛りの人がかかるケースも多く、そのような場合は特に社会復帰を十分に考え、身体の機能をできるだけ損なわないように治療することが大切です。治療効果が高く、体への負担の少ない新しい放射線治療法として、重粒子線治療はこれからかなり期待され、注目される治療法になるでしょう。

 但し、現在この治療は保険適用ではない先進医療のひとつです。「先進医療」とは、厚生労働省のホームページによると、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養」であり、この先進医療を受けた時の費用は、全額自己負担です。重粒子線治療の場合、検査、入院、投薬など一般の治療と共通する部分は保険適用ですが、重粒子線を照射する費用は314万円かかるそうです。

 

 


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