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マイナス金利とは

 今年1月29日に日銀が発表したマイナス金利が2月から実行されています。マイナス金利とは一体どのような金利なのでしょうか?

 今日本では、民間の金融機関は受け入れている預金残高の一定比率以上のお金を日本銀行に預けなければならないと法律で義務付けられています。これが準備預金制度です。そして、その預けるところが日本銀行の当座預金で、各金融機関は日銀に当座用金の口座を持っていて、その残高がそのまま準備預金としてカウントされています。

 日銀の当座預金の主な役割は、日銀のホームページを見ると次の3つが挙げられています。
・金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行なう場合の決済手段
・金融機関が個人や企業に支払う預金通貨の支払準備
・準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金
当座預金ですから、当然預金に利息は付きません。ただし、日本銀行が特に必要と認める場合には、利息をつけることができるようになっています。そのため、2008年(平成20年)11月以降、補完当座預金制度のもと、いわゆる「超過準備」に対しては、日銀が定める適用利率による利息が付けられていました。「超過準備」とは、法律で定められた準備預金額を超えて預けられている金額のことです。
 大規模な金融緩和のもとで、金融機関は余った大量の資金を日銀の当座預金に預け、超過部分に付いた金利をもらっていました。
 今回のマイナス金利は、この超過準備に対して付けられていた年0.1%の金利がマイナス0.1%になったということなのです。マイナスですから、今まではもらっていた利息がもらえないどころか、逆に支払わなければならなくなりました。
 つまり、余分にお金を預けるとペナルティとして手数料をとるというしくみです。

 では、このマイナス金利はどのような影響を及ぼすのでしょうか?
 まず、長期金利の代表的な指標になっている10年国債の利回りが初めてマイナスになりました。
金融機関は、日銀に預けて手数料を取られるより企業や個人に融資をした方がいいのですが、どんな相手にでもかまわず貸すわけにはいかないので、まずは国債を買うという動きになり、国債の価格が上昇しました。国債の価格が上昇すると、利回りは下がります。
 長期金利の低下により、住宅ローンの金利が引き下げられました。
 某都市銀行の10年固定の住宅ローンは、2月の1.05%から3月には0.8%に引き下げられました。フラット35は融資率9割以下、返済期間21年以上35年以下で1.25%〜1.880%で、約0.2%下がっています。
 又、銀行の預金金利にも影響が出ています。大手銀行の普通預金の金利が相次いで下げられ、普通預金は何と0.001%、定期預金もメガバンク3行の店頭表示金利は預入金額や預入期間を問わず、すべて0.01%となっています。100万円を普通預金に1年間預けて利息は10円、定期預金に10年間預けて利息は1,000円です。その上、さらに20%の源泉分離課税が引かれます。利息はないといっていいでしょう。

 今後、個人の預金金利がマイナスになることはないと思いますが、銀行が金利収入の減少を補うために、ATMなどの手数料の引き上げなどを実施する可能性はあるかもしれません。
今でも、100万円の預金があったとして、年に1回でも時間外に引き出しをすればその手数料で十分マイナスですが。
 さらに、この影響は生命保険会社にも及び、貯蓄性のある一時払い終身保険や個人年金保険が販売停止になったり、又予定利率の引き下げが予定されているところもあります。
 マイナス利回りとなった国債相場はまさにバブル状態で、やがてバブルが崩壊すれば今度は長期金利の急騰も考えられ、住宅ローンの変動金利などは十分注意が必要です。