2005 6月号 

プラネット通信

第9回 日本の年金制度@
FP 加藤惠子


 昨年は、5年に一度の年金改正の年で、そのため新聞・テレビなどでその話題が取り上げられることが多く、皆さんも年金について考えたり、話し合ったりすることがあったかと思います。話題に上った改正案が予定通りに決まったものもあれば、強力な抵抗勢力にあい、5年後に先送りになった案件もありますが、一番大事なことは、日本の年金制度を国民全体でいかに維持していくか、その努力をするということではないでしょうか。そのためには、不公平感をなくし、皆が安心して納得して保険料を納めていけるシステムを作ることです。

 日本の年金制度は、昭和17年6月に労働者年金保険(今の厚生年金)として始まり、この時は現場で働く男性のみが対象で、女性と事務職の男性が加入できるようになったのは2年後の昭和19年10月からでした。国民年金は昭和36年4月にスタートしていますが、当時は任意加入で、昭和61年の年金法改正で厚生年金・共済年金加入者も含めた20歳以上60歳未満のすべての国民が全員強制加入となり今に至っています。ちなみに、現在の国民年金保険料は月額13,580円ですが、昭和36年当時は35歳以上の人が月額150円、35歳未満の人は月額100円でした。
 又、日本の年金制度は基本的には賦課方式といわれるもので、これは世代間扶養制度とも言われています。支払った保険料がその人の将来の年金として積み立てられていくのではなく、その時に必要な年金として使われていくしくみです。つまり、この制度において年金制度を維持していくためには、若い世代(保険料負担者)の協力が不可欠です。将来の制度が不安だからといって保険料を納めない人が増えれば、そのこと自体が年金制度を揺るがす大きな要因になってしまいます。

 2004年度の国民年金保険料の納付率63.6%という数字は、前年より改善したとはいえやはり大きな問題です。昔に比べて人口構成が変わってきているのですから、支払った保険料と受け取れる年金額の割合を比較しても仕方がないでしょう。若い世代も、いずれは高齢者になり年金を受給する世代になるのですから、制度がなくなって困るのは他でもない自分達であること考え、これからの少子高齢社会の中でいかに年金制度を維持していくかを一人一人が真剣に考える必要があります。

  そして、更に言えば、公的年金制度には柱が3つあるということです。つまり、老後もらえる老齢年金だけでなく、一家の大黒柱が亡くなった時の遺族年金と障害状態になった時にもらえる障害年金です。月13,580円払うことによって、個人年金と一定期間の死亡保険と傷害保険に加入しているようなものなのです。保険料を払わなければ、もちろんこれらの権利はありません。今回の改正で、国民年金の保険料は今後毎年上がり16,900円で固定しようということになりました。仮に、月16,900円を40年間払ったとすると合計8,112,000円になり、平均寿命まで生きたとして、今の年金額が維持されれば、女性で約1,580万円、男性で約1,100万円受け取ることができます。終身年金ですから、予想以上に長生きしたとしても生きている間中もらえます。又、物価スライド制なので、今後インフレになったとしてもある程度は対応してくれるでしょう。国民年金の保険料を払わずに民間の個人年金に加入している人も多くいるようですが、このあたりを考えてみると決して割りにあわないものではないと思います。ただし、公的年金だけで老後の生活を賄っていくことはどう考えても無理です。公的年金をベースに、足りない所は自助努力で準備しなければならないことは言うまでもありません。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー       後藤田潤子

イギリス流・暮らしの知恵

 イギリスは日本と比べて1世帯あたりの平均月収が約半分。そのため、イギリス人は長年、お金に対して節約好きと言われてきました。イギリス人が実際にどういう風に暮らしているのか、その暮らしの知恵について今回は探っていきたいと思います。

 私が以前読んだ本の中に、イギリスの暮らしについて書かれたものがありました。その本によると・・・
 イギリスの某大手スーパーでは、数年前から買い物客にバーコードリーダーを渡して予算内で買い物ができるシステムを導入したそうです。
たとえば、今日は5000円以内で買い物をしたいとすると、お客さんはその限度額をバーコードリーダーにまずインプットします。そして、商品をカートにいれる際にバーコードリーダーで読み取らせ自分の限度額まであとどれくらい買えるか、確認しながら買い物をするそうです。
 そうすることで、“つい買いすぎて予算オーバーした”というのを防ぐことができるそうです。商品を少しでも売りたい立場であるスーパーが消費者の買いすぎを防御するシステムを導入しているというのは、日本ではないことですね。けれども逆にいえば、そういう消費者の立場にたった考え方をしてくれるスーパー、バーコードリーダーを導入してくれている親切なスーパーということで、お客様に支持されているのではないでしょうか。
 残念ながら日本にはバーコードリーダーがないので、自分で電卓を持参してスーパーへ行き、お財布の中にも本日使ってよい分のお金しか入れないことでしょう。現金が不足したからカード払いで・・・というのは、その時点で予算オーバーなのです。

 イギリスではまた、家計簿より買い物リストを重要視するそうです。家計簿をつけていることで安心しがちな日本人とは逆の発想です。まず予算を@絶対必要なものAほしいものBもしお金が余ればほしいものに分けるそうです。そして、@絶対必要なものとその金額を紙に書き出していって、予算の中からどの程度のお金が残るか考えます。その残った中で、さらにABへ振り分けていきます。そうすることで必ず予算内で収まり、後になってお金を使いすぎた・赤字になったといったことにならず、安心感が残ります。
 ここで1ヶ月の収入を例に考えてみると、どうなるでしょうか?
@絶対に必要なものは、住宅費(家賃)・駐車場代・光熱費などがあてはまるでしょう。Aほしいものには、食費や子どもの習い事などが入り、最後のBには、ちょっとおしゃれを楽しむための洋服代・余暇を楽しむための旅行代金といったものが入るでしょう。
 ですから、旅行に行きたい(遊びに行きたい)から、先に旅行代金としていくら・・・という風に予算どりするのではなく、最後に残ったお金の中から旅行代金を捻出するのがイギリス流・暮らしの節約術だといえるでしょう。

 小さなことの積み重ねで節約を実行しているイギリス人に対して、学ぶところは多いようですね。

 


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Last modified 2005.8.22