2007 12月号 

プラネット通信

第39回 老後に備える その5
FP 加藤惠子

 来年度の政府予算案が決定されましたが、一般歳出は2年連続で増加。歳出削減努力はあったものの、高齢化に伴う社会保障関係費の伸びを抑えきることができなかったようです。2006年に定められた「歳出削減5年計画」における「社会保障費の自然増抑制」とは、高齢化で自然に増えてしまう社会保障費の抑制のことですが、今、まさにこの「社会保障費が自然に増えない制度改革」が求められています。そして、その一環として、2008年4月に、75歳以上の高齢者を対象とした「後期高齢者医療制度」がスタートすることになっています。現在は、75歳以上になると、国保や厚生年金などの被用者保険からの拠出金と公費を財源として運営される「老人保健制度」に加入することになっていますが、今後は、この独立した後期高齢者医療制度に加入することになります。

 その内容・しくみを見ていきましょう。
  • 被保険者は75歳以上です。
  • 運営は、保険料徴収は市町村が行い、財政運営は各都道府県単位の広域連合が行ないます。
  • 財源は、公費5割、現役世代からの支援4割、高齢者からの保険料1割となっていますが、現在、この高齢者の保険料負担は6ヶ月間凍結されることになっています。
  • 窓口で支払う一部負担金は、1割(現役並所得者は3割)です。
  • 世代間の負担の公平性を維持するため、人口構成に占める後期高齢者と現役世代間の比率の変化に応じて、それぞれの負担率を変えていく仕組みを導入しています。
  • 保険料は、応益割(頭割り)プラス応能割(所得比例)です。

 ただ、先日、政府はこの75歳以上の保険料負担を6ヶ月凍結すると発表しています。
 では、保険料は一体どの位になるのでしょうか? 
 先日、広域連合議会で来年4月からの保険料が確定し、中央社会保障推進協議会が集計していますが、「平均的な厚生年金額」とされている年金収入(208万円)の場合で、最高が福岡県の101,750円(月額8,479円)、最低は長野県の71,700円(月額5,975円)でした。ほとんどのところが厚生労働省の当初の試算74,400円を上回りそうですが、最高と最低で3万円強の差は、今後問題となりそうです。
 又、保険料が医療給付費の1割ということは、今後の患者数の増加や医療技術の進歩などによる医療費の増加に伴い保険料も上がっていくことになります。来年度からは、医師の技術料である「診療報酬」の引き上げも決定されています。更に、「後期高齢者の人口の割合が増えていくと負担率を変えていくしくみ」となっているので、「負担率1割」は将来は上がることが容易に推測されます。
 このような高齢者を別建てとする医療保険については、現在かなり異論が出ている状況で、目が離せません。「凍結」は、いつかは必ず「解除」されます。選挙対策の目先の政策に惑わされないようにしたいものですね。

 



 奥様の毎日の暮らしをサポートする耳より情報コーナー     FP 後藤田潤子


ねんきん特別便

 基礎年金番号に未統合で誰のものか分からない、「宙に浮いた」年金と言われている5000万件について、社会保険庁は持ち主とみられる人に確認をしてもらうために、「ねんきん特別便」を順次発送します。その第1弾が、12月17日に送られました。
  現在受け取っている年金額に影響するため、受給者を優先して、加入者には来年2月下旬から発送する予定です。

ねんきん特別便が届いたら・・・

 
特別便が届いた人は、加入履歴の一覧に漏れがないかチェックする必要があります。というのも、ここに記載されている記録は、社会保険庁が基礎年金番頭で把握している記録であって、漏れている可能性のあるものについては、一切、載っていません。

 加入履歴の一覧の漏れを確認するために、まずは、“自分の今までの履歴書”を作ってみてはいかがでしょうか?

  例:平成元年4月 ○○会社就職
    平成7年7月 ○○会社退職
    平成7年8月 会社員の夫をもつ
           専業主婦になる。
    平成13年4月 ○△□会社就職
    現在に至る

 この例だと、平成7年7月に○○会社を退職して、8月に専業主婦になっていますが、その際に3号被保険者に届出がされているか(年金記録に記録されているか)がポイントです。
 また、平成13年に○△□会社に再就職した際もポイントとなります。

 ねんきん特別便が届く、届かないに関係なく、自分の年金についてしっかりと把握しておく必要があります。ですから、自分の履歴書を1度作ってみて、今後は更新していき、ねんきん記録に間違いがないか確認作業を行うことをおすすめします。

記録に訂正がある場合は、どうすればよいのでしょうか?

 同封の照会票に記入して、受給者は年金証書と一緒に社会保険庁に持参します。
 加入者は返信用封筒で返送します。訂正がない場合は、照会票の確認はがきを返送します。

 


 


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Last modified 2008.2.12